千葉県内陸部の中心地、大多喜にある旅館。街道沿い、神社わきにある。車通りも少なく、昔の風情を堪能できる立地がすばらしい。
正面(2021/8 吉宮) | 2階客室(2021/8 吉宮) |
表は明治18年の建築で、一階が帳場や調理場、二階が客室になっている。他ではなかなか見つからないほど原形を保っており、例えば二階正面は板戸のみでガラスが無く、さらに客室に冷房をつけていない。 硝子の入っていない状態が残る建物は、全国の宿でも10軒やそこらかもしれないくらい珍しい。
かつては相当な賑わいを見せたそうで、玄関右手には電話室そして古いレジスター「寶來金銭登録器」が残る。昭和初期当時の値段で85円、金64グラム分である。
主屋の裏には3棟の増築があり、大正期の客室棟、浴室棟、昭和初期の大広間棟が存在する。奥の離れは2021年7月末に取り壊された。 大広間棟の便所は少し新しいようにも思える。13号室は、少し変な位置にあるため、謎である。また、11,12号室は離れにあったのだろう。
年表
江戸後期 創業
明治18年(1885) 主屋竣工、(1番~5番)
明治24年(1891) 正岡子規宿泊か
大正期 客室棟(14番~19番)、浴室棟増築、茂原~中野間乗合など自動車業も営む
昭和初期 大広間棟増築(7番~10番)、自動車業停止
平成11年(1999) 有形登録文化財被指定
平成20年代 浴室一部改修
1階(建設時推定) | 2階(建設時推定) |
番号 | 所在 | 階数 | 状態 | 建設年 | 解体年 | 冷房機 |
1号室 | 主屋 | 2階 | 客室 | 明治18年 | - | × |
2号室 | 主屋 | 2階 | 客室 | 明治18年 | - | × |
3号室 | 主屋 | 2階 | 物置 | 明治18年 | - | × |
4号室 | 主屋 | 2階 | 不明 | 明治18年 | - | × |
5号室 | 主屋 | 2階 | 開放 | 明治18年 | - | × |
6号室 | 主屋裏 | 2階 | 物置 | 不明 | - | × |
7号室 | 広間棟 | 1階 | 物置 | 昭和初期 | - | × |
8号室 | 広間棟 | 1階 | 物置 | 昭和初期 | - | × |
9号室 | 広間棟 | 1階 | 物置 | 昭和初期 | - | × |
10号室 | 広間棟 | 1階 | 物置 | 昭和初期 | - | × |
11号室 | 離れ | 1階 | 解体 | 不明 | 令和3年 | × |
12号室 | 離れ | 1階 | 解体 | 不明 | 令和3年 | × |
13号室 | 広間棟 | 1階 | 客室 | 不明 | - | × |
14号室 | 客室棟 | 2階 | 客室 | 大正期 | - | 〇 |
15号室 | 客室棟 | 2階 | 客室 | 大正期 | - | 〇 |
16号室 | 客室棟 | 2階 | 客室 | 大正期 | - | 〇 |
17号室 | 客室棟 | 1階 | 客室 | 大正期 | - | 〇 |
18号室 | 客室棟 | 1階 | 客室 | 大正期 | - | 〇 |
19号室 | 客室棟 | 1階 | 客室 | 大正期 | - | 〇 |